青少年 創・生 連絡協議会(青創協)とは |
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青少年 創・生 連絡協議会(以下、青創協)の名前を聞いて、すぐにピンとわかる人はそうとう 共同生活に詳しい関係者だろう。自立支援に関わる関係者でも知っているという人は少ない。 あまりマスコミに出ることもなく、また共同の声明を出すわけでもなく、ただひたすら 現場で地味〜に活動しているネットワークだからだ。 だが侮ってはいけない。 なぜなら、今でこそ支援のネットワーク化が叫ばれているが、離合集散の多いこの業界において 青創協は二十数年の長きにわたって活動を続けている。 もちろん活動の長さだけではない、ネットワークに名を連ねる顔ぶれも実に多彩である。 青創協の生い立ちは、北陸青少年自立援助センター(はぐれ雲)理事長で青創協事務局長の 川又 直氏の研鑽活動に端を発している。 '70年代に登校拒否児(現・不登校児)の問題がクローズアップされ、それに呼応するように 全国各地で民間のフリースクールが開設されていった。 川又氏も静岡県のフリースクールのスタッフとして共同生活をしていた頃 (私はその時の寮生だったので知る由もないが)に、預かる寮生の喫煙、いじめ、脱走、男女交際 地域とのかかわり等様々な問題に直面するも、考え方や方法論で納得できるものが得られなかった ことから、休暇を利用して全国の同様の取り組みしている団体を精力的に見て回ったそうで、その数は 50ヶ所以上に上るという。 それらの中から同じ悩みを抱える団体とお互いに研修し交流する機会をつくるべく 11団体に呼びかけて1984年に設立したのが表題にもある青創協の始まり。 |
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当時の世話人は次のとおり(順不同・敬称略) | |
河合 洋(故人) | 児童精神科医・元NHK教育相談担当・かわいクリニック院長 「学校に背を向ける子供たち」「子供の精神障害」など著書多数 |
永田 実 | 代々木高等学院校長 横浜で初めて適応指導教室を作るなど長年不登校とかかわってこられている |
本吉 修二 | 白根開善学校理事長 (不登校の子供たちの全寮制の中・高等学校の草分け的存在校) |
森下 一 | 生野学園理事長(不登校児の全寮制中・高等学校)・精神科医 |
五十嵐 正人 | 「生活工房 じゃがいも天国」(共同生活)主宰 |
宇都宮 誠 | 生野学園学園長 |
工藤 定次 | 青少年自立援助センター理事長(共同生活) タメ塾主宰(日本の共同生活寮の草分け的存在) |
鈴木 繁夫(故人) | 三宅島くろしお代学(共同生活)理事長 |
和田 重宏 | 「はじめ塾」(共同生活)前塾長 「NPO法人子供と生活文化協会」会長 |
岩川 松鶴 | 蔵王いこいの里(共同生活)代表 |
川又 直 | 「Peaceful houseはぐれ雲」(共同生活)代表 NPO法人北陸青少年自立援助センター理事長 |
私のような後進に普段あまり語られることもないので知らなかったのだが、キャラバン隊の開催にあたり 見せてもらった資料によると以上のような錚々たるメンバーで構成されているのだ。 当初は共同生活寮の団体だけだったが、後に、より活動の範囲や各専門家との見聞を広げるべく 精神科医、カウンセラー、フリースクール、マスコミや行政関係者なども参加。現在は50団体以上が 参加している。 近年はさらに門戸が開かれ、例会には、青少年問題に関心のある方なら誰でも参加出来るが、ただ ひとつ変わらない約束は、不登校や引きこもり、ニートなどの青少年を、社会で自立させることを目的に している団体(その方法については問わない、議論の対象となることはある)であるということだ。 したがって、「本人が動きだすまで待てばよいとか、引きこもる権利を認めて行政が生活支援をするべき」という他力本願の考え方の団体とは一線を画している。 |
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そして青創協の活動の核をなしているのが
隔月に開催される例会。 その例会開催は「四角いテーブルでの堅苦しい会議より、丸いテーブルを囲んで飲みながらじっくり本音で語ろう」をモットーにもっぱら東京は牛込柳町にある居酒屋をメインに行われており、その回数は22年間で百四十数回にも及び、143回例会は玄田有史氏等も参加してNOLA見学会も兼ねて奈良で開催。 9月には第144回の例会が代々木で開催され、キャラバン隊「奈良の集い」開催要項等について話し合われた。 |
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そしてもうひとつの活動が今回の特集にもある「子供の世界を考えるキャラバン隊」というシンポジウムだ。 1984年の例会開催から7年後の1991年、例会を通じてつながった各団体の面々が、現場で培ったノウハウをもとに、キャラバン隊を組んで全国を回って、全国各地にあるご当地の青創協会員がホストになって、出来るだけ不登校や引きこもり等で苦しむ当事者の皆さんとより具体的な内容を膝を突き合わせて話し合えるシンポジウムとしてスタート。 助成制度なども殆どなかった当初は、スタッフはもとより講演者の諸先生方までもが全員手弁当(ボランティア)で参加するというまさに自立不全解決という参加者全員の熱い志の結晶ともいえるイベントなのである。 この「キャラバン隊も」今回で29回目を迎える。これまでに参加された主な講演者は、上記世話人を中心に、ご当地で活躍の方を加え、私の知っている範囲でも斉藤 環氏や加藤 彰彦(野本 三吉)氏、玄田 有史氏等著名人も多数参加している。
そしてこのイベントのもうひとつの特徴として、これら講演者や各団体など参加者の親睦が深まるように、前日に交流会が必ず催されて、翌日の本番を迎えるため、和やかな雰囲気で進行でき、より突っ込んだ議論も出来るのが特徴だろう。 そして講演やパネルディスカッションの最後に、医療・学校・生活など会員の各専門分野に分かれてより具体的な質疑応答ができる分科会が設けられている。今でこそ相談会などでは当たり前だが、そのはしりともいえる形態を確立した。 最後に、そのキャラバン隊をNOLAのNPO法人化記念事業として奈良県で初めて開催させていただくことになった。 詳細は次項に譲るが、開催にあたって、多くの方からの助言やご協力を頂いたことに感謝したい。 |
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佐藤 透 |
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