NPO法人 関西青少年自立支援センターNOLA
自然流自立塾NOLAとは

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一言でわかりやすく言えば、アイドルグループのTOKIOがTV番組で田舎暮らしをしているDASH村のような生活といえばイメージしていただけると思う。

NOLAは不登校、引きこもり、ニート、非行等、何らかの理由で自立が出来ない青少年(以降、自立不全者と表現)の「社会参加」を目標に、スタッフが彼らとの共同生活をしながら、生きる力を養い、再び社会参加できるその日まで、共に生きる場所として、1999年8月、吉野町の山里にある代表の自宅を開放し開設した。
 
1、なぜ共同生活なのか・・・。
 
 よく当事者が専門家の元に相談に訪れてがアドバイスされる言葉に「本人が動き出すまで待てばよい」と言われる。

だが本当にそうだろうか・・・。
現実にはその言葉を信じて、3年・・・5年・・・と待ち続けてもなんら変化はなく状態はますます悪くなり、やがて暴力や、精神症状が現れて、本人も家族も疲弊し精魂尽き果てて我々の元を訪れる相談者が後を絶たない。

 また、彼らの居場所が無いから居場所が必要だということで、そこにさえ居れば何をやっても(やらなくても)良いというスペースへ通い始めて、随分元気になったからと、社会に出る試みはするがすぐ挫折してしまい、結局引きこもってる場所が、家から居場所に変わっただけでそこから先へ進んでいかない・・・。という支援者の悩みも良く聞かれるところだ。

 なぜそうなるのだろうか?
引きこもりを怪我(骨折)に例えば、何らかの理由で怪我をする。
傷ついて動けなくなってしまった骨(心)は、十分にくっつくまではギブスで固定して保護をする、時に医療(手術=自立不全者なら精神科医やカウンセラー)の援助なども必要になることもあるだろう。
その後傷が癒える(元気になる)が、だからといっていきなり全開で負荷を掛ければたちまち元に戻ってしまうのは身体も心も同じでこれが上記にあげた問題だ。

 理由は、骨(心)が元気になっても、保護されていた間に、筋肉や体力はどんどん萎縮し低下している。
それらの衰えは使わなかった(引きこもっていた)期間に比例することは容易に想像がつくはずだ。
人間関係(交渉能力)や生きる力も同じで使わなければどんどん萎縮し低下してしまう。

それらの低下した能力を取り戻すのに、リハビリテーションは欠かせない。
最近の医学は手術などの後、保護して養生するよりも、リハビリへの移行が早いほうが予後が良いということが解明されて、リハビリに移行する時期が早くなっている。

 だがリハビリというのは経験した人はわかると思うが、辛く苦しいものだ、一人では挫折してしまうし、負荷を掛けるペースもわからない。
家に居たままでリハビリを進めるのが難しいのは自分ひとりの孤独な戦いになるということだ。
したがって医療の場合、リハビリ士が常に寄り添って支えになって、共に進んでいくことが基本となる。

NOLAの共同生活も同じ。

自ら動き出せない彼らにとって、孤独な家庭を一旦離れて、同じ境遇の仲間との生活で、心の負担を軽減し、心地よい居場所になると同時にリハビリとなる作業やスポーツを通じて体力や交渉能力(他人の飯を食う。

あるいは、かわいい子には旅をさせよ。

のことわざにもあるが、家庭以外の他人の中で揉まれることでしか育たない)をつける。
さらに規則正しい生活をすることでの生活習慣の改善も見逃せない点である。

 また、NOLAの共同生活ならではの特徴として、スタッフも24時間生活を共にし、彼らと向き合っているので、彼らの心の動きや体調を見逃すことなく、彼らの状態応じてタイミングを逃すことなく適切な援助が出来るのだ。

 それらの結果はデータにも如実に現れており、中学生は入寮半年以内に100%登校開始。
しかも欠席日数は3日以内(殆どが皆勤)で卒業している。
また、20歳以上の成人のニート・引きこもりの寮生も入寮後1年以内に75%が就労(バイト・就労研修を含む)している。
(いずれも中途退寮者、精神・発達・知的障害等があると認められる者を除く実績)

 また、これらが火事場の馬鹿力的な短期間のものではなく、地道なリハビリ(共同生活)による彼らの実力向上と自信回復であることは寮生のNOLA卒寮後の再発率が0%(中途退寮者は除く)を更新中であることからもお解かりいただけると思う。

彼らは社会参加が出来ないのではなく、やり方がわからない(経験不足な)ため自信が持てず踏み出せないだけであり、他人に接し適切な環境と支援さえ行えば、自ら動き出すことは可能なのだ。
 
2、NOLAの生活
 
 では具体的にはどのような支援が行われているのだろうか。

 朝は7時起床し、散歩に出る。約1万坪の広大な敷地内を一周することから始まる。
朝弱い彼らはこの散歩でさわやかな山の空気を吸い、身体を動かすことで、、血圧があがり、寝ぼけ眼の目と身体を目覚めさせる。
散歩から帰れば朝食。
朝食を抜くことは、血糖値があがらず、昼間の活動に支障をきたすのは周知のとおりだが、この散歩で1周約1,2kmを15分ほどで帰った後はおなかも減ってくるので朝食も美味しく食べられる。
その後、決められた分担に従い、各部屋の掃除や、飼っている動物の世話を行う。
動物の体調を見るのも大事な仕事。
自分のことでクヨクヨ悩んでいる暇はない。

続いて9:30〜作業。
これが共同生活の大きな特徴ともなっている。
作業はNOLAの名前の由来にもなっている野良仕事が中心。
今の時期は稲刈りだが、開墾や家を建てたり、自分たちが生きて行く為に必要なことはスタッフと共に殆ど自分たちでやる。
最初は体力もなく何も出来ない彼らは苦痛以外の何者でもない。
そんなときにすぐスタッフが寄り添い励ましたり、悩みを聞いたり、時に激しく叱責することもある。
24時間生活を共にするスタッフにも寮生にも言い訳をする逃げ場はない。

ここでは建前や理屈は通用しない。
仕事を超えた熱意でぶつかり合って共に生きてゆく空間なのだ。
だが、これを読んで尻込みをしないで欲しい。
皆忘れているが、人間には環境に適応してゆく能力が等しく備わっていて、苦痛はいつまでも続くことはない。
そのことは自然の中で目いっぱい身体を動かすことで、昼夜逆転し、不眠に苦しんでいた者も、昼間身体を動かす心地よい疲労ともに
達成感や充実感が味わえることで、次第に眠れるようになり、鈍っていた身体も徐々に引き締まり体力がついていく。

 また睡眠薬や安定剤などの服薬が不要になる(減少する)などの形で現れてくる。作業と共に炊事や洗濯なども当番を決めて自分たちが
やるので、一人で生きていく為の術を体得し、確実に自立へ向けた力がつく。
 またNOLAでは高齢化した地域のお年寄りのボランティア活動(草刈や除雪等)にも積極的に出かけて、田舎ならではの暖かい地域の人たちとの交流は、対人関係の抵抗感を減らす為の大きな力にもなっている。
自分も他人の役に立てるという経験することで、体力向上共に「自分もやれば出来るんだ!」という自信がついて来て、次第に「やりたいこと」が「出来ること」へ変わってゆく。
そうすれば自然と外(社会)に目が向き始め、バイトや学校へ行きたいと言い出す。

これらはすべて実践でしか身につかないことばかりだ。

 そして、いつもそばに居るスタッフが見ていよいよ力がついたと認めれば、学校やアルバイトへ出ることが許される。
この期間が上記のデータとなる。
だがまだ卒寮ではない。

これからが本番で、いよいよ社会に出て継続することで、これがフロックではない本当の実力かどうかが試される。
具体的には、学生は学校卒業。
成人は一年以上の勤続および一人暮らし一年以上が基準となる。

 一人暮らしは基本的にNOLAの近くでおこなう。
いわゆるスープの冷めない距離を保ちながら、彼らの様子をスタッフや地域人たちの協力も得ながら見守っている。
これは、もし彼らに何かあっても、孤立し、煮詰まってしまう前にすぐこちらがフォローできるようにという配慮からだ。

 年月が過ぎ、これらを自分の力で達成した者に、昔の面影はもうない。
精悍で自信に満ち溢れているからだ。
こうなればもう大丈夫。

卒寮の許可が下りる。
彼らはもう何処へ行っても通用する立派な若者だ。
 
と、ここまでがNOLAの支援の範疇となる。
共同生活は元気にするのは当たり前、我々の目標はあくまで彼らの自主独立にあるのだ。
自立不全は待っていても変わらない!「早期発見、即時対応!」が基本。
家族でダメなら他人に託すことが必要だ。
そして他人のもとで彼らが動き出せる機会と環境を提供することだと考えている。
                           
         
NPO法人 関西青少年自立支援センターNOLA 

理事長 佐藤 透

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